初めての表札作りに挑戦!

 田舎の母が家を変わるので、私の文字で表札を作って欲しいというので、自分で字を書いて、それを彫って、墨入れをして仕上げることとしました。
 まず完成した作品をご覧にいれます。ここに、完成までの手順を順を追って示してみました。

 @ まず、表札の木をなんにするか、とにかく始めてなので、材質選びの知識もありませんでしたが、色々調べてみると、最初は檜が彫りやすいとのことでした。そこで、東急ハンズに出向き、表札用に仕上げられていたものを買いました。(約1200円)

 A 表札の彫り方や仕上げが分からないので、インターネットで調べてみました。表札を注文できるお店も結構あるんですね。自分で書いた字を送って彫ってもらうこともできるが、折角だからやはり自分で彫ろうと決めました。
 B さあ、彫刻するとなると、彫刻刀を用意しなくてはなりません。家にあるのは、小学生が使うような安物しかありません。たまたま友人に、この話をしたところ、自分の会社のビルのオーナーが、有名な刃物店だそうで、すごく良く切れる彫刻刀を紹介してもらいましたので注文することにした。
 C 清水刃物店という、現代の名工の作る彫刻刀は、あの棟方志功も愛用していたというものです。どういう表札を彫るのかを聞かないと彫刻刀を選べないというので、文字の彫り方、文字の数、画数の多寡によって、道具が変わるとわれ、ご主人の知人の刻字の専門家にアドバイスをもらって左の四本を揃えてもらいました。(約7500円)
 D さて、表札の文字って、普通は楷書だなと思いつつ、家の近所の表札をいろいろと見て回りましたが、やはり楷書が一番多かったです。専門家に頼んだものは、確かにバランスもよく、字も決まってはいるが、なぜか味気ない気がしました。
 E 出来るれば個性的なものを作りたいが、読みやすくて、品があり、飽きがこないものにしたいとも思いました。字体も迷いに迷い、縦書き・横書き・行書に草書、英文字もあるのかな・・・
いろいろと書いて見ましたが、なかなか決まりませんでした。
 F 結局、縦書きとし、字体は自分がもっとも得意とする行書風の楷書と決め、何枚も書きこみました。50枚書いてくると、だんだんバランスもよくなってきて、最後に左にある下書きを完成させました。2種類あるうち、左の三文字(畑美登)と右の一文字(利)の組み合わせにしようと決めました。
 G 下書きができたので、その籠字を取って、木に糊付けし、糊が乾くのを待って、縁取りの線を頼りに文字の中を彫って行きました。輪郭線を残すように、内側に三角刀を深く入れて、彫りがはみ出さない様にしました。
 H 標準の大きさに画数の多い文字を四文字ですから、大変細かい作業になりました。線質がうまく表現できることと、筆脈が通じるように、緩急をつけつつ、慎重に刃先を運びました。とにかく初めてなので、結構つかれましたね。
 I 一応彫り終わった直後の一文字です。やや彫りが浅いとは思いますが、丸刀を主体に使いましたのでこれ以上深くは彫れませんでした。
「畑」は横長でどっしりとするように、縦画を太く仕上げました。
 J 「畑」に対して「美」はやや縦長の雅趣のある姿をイメージして、字もやや細めにすっきりと仕上げました。
 K 「登」は今回もっともバランスが取れませんでした。上の二文字をが支えるような力強さが欲しいと思いまして、冠を左右に大きく広げました。
 L 最後の文字「利」は画数が少ないので、線をやや太めにしなくてはならないし、終筆で余韻を残すような心構えでしかりと彫ることに留意しました。最後の縦線は、ここでは一番大きいので、この形如何で成功か失敗か大きく分かれる大事な線です。
 M 文字は、カシューと呼ばれる漆を使いました。専用の薄め液を使って作ります。これも初めて使ったので、どの位の濃さが良いのかよく分からないので、超濃墨をやや薄めた、どろっとした濃さにしました。
 N カシュを塗るのは初めてで、怖かったので、まず濃い墨でを使って、彫り跡をはみ出ないように慎重に墨をいれていきました。
 O 「美」の部分に墨をいれているところです。なにせ全部自分一人ですので、この写真は、左手でデジカメのシャッターを押しているいるのですよ。分かります?
 P 一通り、墨を入れた後、カシューで上書きをしていきました。カシューが乾くまで、数時間かかります。艶のある黒色のカシューを使いましたので、墨のみよりも光沢があり、立派に見えます。
 Q これでようやく完成しました。注文を受けてから、いろいろ準備から始めたので、1月あまりかかりました。望月先生には、写真を見てもらって、いろいろとアドバイスをもらいましたので、最終的に少し手を加えて完成させました。初めての挑戦でしたが、まずまずの出来映えでしょうか。
良い記念になりました。